私たちが生活している自然界では「ゆるせない事」など何も起きていません。「ゆるせない事」は、人間社会の中だけで起きる現象です。
人は、自分の思い通りにしたいという欲求を常に抱きながら過ごしているので、自分の思い通りにならない出来事に対して、ストレスを感じ、また怒りの感情を抱きます。思い通りにしたいという欲求が、他人との争いを生み、「ゆるせない」という感情をも生み出します。
そもそも、価値観の違う人たちが、集団で過ごす我々の社会で、自分の思い通りに出来ない出来事が起きるのは当然の事なのですが、人が生まれ持った欲求が邪魔をして、相手を「理解」する前に、目前の出来事を優先し判断してしまうからです。「理解」が足らないが為に、その現実を受け入れる事が出来ない。そして「ゆるせない」という感情が生まれてしまうのです。
しかし、私たちが過ごす、この自然界では負の感情を抱き続けると「苦悩」に直面する仕組みがあります。「ゆるせない」という感情を抱けば抱くほど、「ゆるせない」出来事が増えて行きます。私たちに「利他的な心」を育ませようとしているのです。
「利他的な心」は、自分以外を思いやる心であり、「ゆるす心」も「利他的な心」に含まれます。従って私たちは「ゆるす心」を学ぶ必要があり、「ゆるす心」を学ぶために「ゆるせない感情」を生み出すように創られているのでしょう。そう考えると、「ゆるす心」を育むために「ゆるせない事」が起きているのでしょう。