人は、誰しも利己的な思考をもって生まれてきます。自分を優先しなければ、自分の命を守る事が出来ないからです。しかし、自分一人だけでは、生きて行けない世界に生れ落ちます。言うなれば、利己的な思いだけでは、生きられない世界に生れ落ちているのです。自然界には沢山の人が生活しており、お互いに助け合う社会の中で集団生活をしています。多くの命を失わないようにする為には、一人一人が他人を尊重し合って過ごす必要があるのです。自分の命を守るためには、「利己的な心」が必要であり、また、多くの命を守るためには、「利他的な心」も必要なのです。
私たちは、生れ落ちた時「利己的な心」を優先し、人生の中で「利己的な心」を育む必要があります。そうしなければ、人の命を保てないからです。また、自然界は私たちに「利他的な心」を育ませようと、出来事を引き起こします。「利己的な心」の大きい人には、「苦悩」を与え、「利他的な心」が芽生えるよう仕向けられるのです。
従って、「何をやっても上手くいかない」人は、利己的な思いが強く、利己的な言動が多い人という事になります。昔の言葉を使えば、「不徳」の多い人です。よく大企業の不祥事での謝罪会見で「不徳の致すことろです。」という言葉を耳にしますが、我々日本人のご先祖様は、苦悩は不徳が生み出す事を良く知っていたのでしょう。
逆を言えば、「徳」を積めば、嫌な出来事がなくなるのです。自己の経験値の蓄積が自分のエネルギーとなり、自分以外との「縁」をつくり、その「縁」が様々な出来事を引き起こします。「徳」を積んだ経験値により創られたエネルギーが、より良き「縁」を生み出す事でしょう。